分配金利回りが高い商品はもちろんリスクが高く、当サイトでは高配当銘柄を中心に紹介してきました。
今回は、一般的にはリスクが低くリスクフリーレートとしても用いられている、米国債のETFについて紹介いたします。
コロナウィルスによる影響で株価が急落し、金利が低下してしております。金利のみが低下すると場合、債券は価格が上昇するため、コロナウィルスによる影響で株価が下落していても米国債ETFは価格が上昇しております。株式投資だけでなく債券にも投資しておくと、株価下落時の影響を緩和することはできることが多いです。
米国債とは
米国債(米国財務省証券)とは、アメリカ合衆国政府(米国財務省)が発行する国債のこと。
高い信用力と流動性を有する。償還期間が1年以内の割引債をトレジャリービル(T-Bills)、2・3・5・7・10年物の利付債をトレジャリーノート(T-Notes)、30年物の利付債をトレジャリーボンド(T-Bonds)と呼んでいる。そのほか、元本および利子が物価に連動するインフレ連動債や、利付債の元本部分と利子部分が分離され、それぞれの部分が割引債として販売されるストリップス債などがある。
米国債ETFの種類
バンガードでは米国債を期間等をベースに4つに分けております。
銘柄 | 名称 | 残存期間* | 配当利回り |
VGSH | バンガード・米国短期国債ETF | 2年 | 2.22% |
VGIT | バンガード・米国中期国債ETF | 5.7年 | 2.14% |
VGLT | バンガード・米国長期国債ETF | 25.3年 | 2.15% |
EDV | バンガード・超長期米国債ETF | 25.1年 | 2.11% |
*2020年2月29日時点
バンガード・米国短期国債ETF(VGSH)
バンガード・米国短期国債ETF(VGSH)とは
ブルームバーグ・バークレイズ米国国債浮動調整(1-3年)インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF。
基本情報(2020年3月13日)
上場:米国(日本の証券会社から投資可能)
平均実行残存期間:2年
配当頻度:月次(毎月)
配当利回り:2.22%
経費率:0.05%
チャート(2020年3月13日)
長いこと横ばいでしたが、直近は株価が上昇しております。
バンガード・米国中期国債ETF(VGIT)
バンガード・米国中期国債ETF(VGIT)とは
ブルームバーグ・バークレイズ米国政府債浮動調整(3-10年)インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF。
基本情報(2020年3月13日)
上場:米国(日本の証券会社から投資可能)
平均実行残存期間:5.7年
配当頻度:月次(毎月)
配当利回り:2.14%
経費率:0.05%
チャート(2020年3月13日)
一定のレンジで株価が変動しておりましたが、直近は価格が上昇しております。
バンガード・米国長期国債ETF(VGLT)
バンガード・米国長期国債ETF(VGLT)とは
ブルームバーグ・バークレイズ米国政府債浮動調整(10年超)インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF。
基本情報(2020年3月13日)
上場:米国(日本の証券会社から投資可能)
平均実行残存期間:25.3年
配当頻度:月次(毎月)
配当利回り:2.15%
経費率:0.05%
チャート(2020年3月13日)
長期的に価格は上昇傾向がありますが、直近の上昇は大きくなっております。
バンガード・米国超長期国債ETF(EDV)
バンガード・米国超長期国債ETF(EDV)とは
ブルームバーグ・バークレイズ米国債STRIPS(20-30年)均等額面インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF。
超長期国債ETFという名前ですが、長期国債ETF(VGLT)と残存期間と同じくらいです。超長期国債ETF(EDV)はどちらかというとストリップ債という特徴があります。
ストリップ債とは
米国財務省によって開発されたもので、利付債の元本部分と利札部分が分離され、それぞれの部分がゼロクーポンの割引債として販売されるものをいう。
利付債は通常元本部分と利札で構成されるが、元本部分をこの利付債の償還日を満期とする割引債(ゼロクーポン債)、各利札をそのクーポンの支払期日が満期の割引債(ゼロクーポン債)として、販売するものがストリップスである。
トレジャリー・ノート・ベーシック、トレジャリー・ボンド・ベーシックが元本部分のストリップスであり、日本国内の投資家も買付が可能となっている。
基本情報(2020年3月13日)
上場:米国(日本の証券会社から投資可能)
平均残存期間:25.3年
配当頻度:四半期(3ヶ月ごと、3月、6月、9月、12月)
配当利回り:2.14%
経費率:0.07%
チャート(2020年3月13日)
長期的に価格は上昇傾向がありますが、直近の上昇は大きくなっております。
米国国債ETF(VGSH、VGIT、VGLT、EDV)のメリット
コストが圧倒的に低く、長期間保有できる
4銘柄ともに信託報酬が非常に低く(高くても0.07%)、長期間保有しても負担にならない。
安全資産の代表格である米国債投資を簡単に行える
ETFにすると米国債も期間等を分散することができます。
外貨定期預金よりも高金利、かつ、いつでも売却できる
外貨預金の金利は、キャンペーンや銀行の施策として高めの金利を出さない場合、通常は米国債よりも低い金利となっております。外貨定期預金に入れるよりも、米国債ETFに投資をした方が高い金利を得ることができる可能性があります。
また、外貨の定期預金を行う場合、原則は途中で解約できず(高い金利を断念する通常できます)、金利は満期日に受け取ることになります。米国債ETFの場合、いつでも売却可能ですし、長期金利に基づく金利を月次等で受け取れます。
株価下落時のヘッジになる
記事を更新している2020年3月20日ではコロナウィルスによる影響で、多くの銘柄の株価が大幅に下落しております。また、金利も低下し、債券価格が上昇しております。株式投資だけでなくリスクが低い米国債ETFにも投資しておくと、株価下落時の影響を緩和することはできるます。
デメリット
配当利回りが低い
一般的にはクレジットリスクが低い商品のため、配当利回りは低いです。
長期になるほど価格変動リスクが大きい
金利が低下する場合、債券価格が上昇するので、値上がり益を狙えますが、利息は下がります。長期になるほど価格変動リスクが高く、国債投資=リスクが無いわけではありません。
逆に、金利が上昇する場合、債券価格が下落しますので、値下がりによる損失が生じます。一方で利息は増えることになります。
外貨預金と比べて高い利回りを得ることができますが、金利変動に伴う価格変動リスクを負うことになる
外貨預金の場合、一般的には米国債の金利よりも低いので、米国債に投資した方が金利という点では高くメリットがあります。
ただ、金利変動に伴う価格変動リスクは外貨預金の場合、預金者は負いませんが、米国債の場合、投資家が負うことになります。
個人的な感想
配当利回りは4銘柄で差異はほとんどありませんが、YTDのトータルリターンは大きく異なっており、残存期間が長期のETFのトータルリターンが高くなっています。
これは米国債の金利が低下傾向にあり、残存期間が長期の債券の方が、価格変動が大きくなるためです(金利低下のため債券価格上昇)。
これまでは米国債への投資はあまり考えてきませんでしたが、自分が保有している株式やETFはクレジットリスクが高く、次の経済危機に備えて米国債への投資検討を行い始めました。
既にリスクを取る必要が無い方でしたら米国債ETFをベースにした資産運用もありかもしれません。