NASDAQ100について配当を重視したカバードコール戦略をとるETFについて記事にしております。
NASDAQ100の株価上昇によるキャピタルゲインを放棄して、オプション料を配当をしてもらう。
オプション取引を理解できている場合には大して難しくないETFですが、ちょっと理解しにくいと感じる方も多い銘柄となっております。
理解しにくいですが、めちゃくちゃ危ない銘柄というわけではありません。
グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF
CBOE NASDAQ-100®・バイライト・V2・インデックスに連動する投資成果を目指すETFです。
簡単に説明すると、カバード・コールの売りで利益を生み出そうとするETFで、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数のコール・オプションを売却することにより利益を生み出しております。
米国に上場されておりますが、SBI証券、マネックス証券、楽天証券など日本のネット証券会社で購入できます。
少しわかりにくいETFのため、用語の説明も行っております。
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETFのポイント
- 「NASDAQ100の買い」と「コールオプションの売り」への投資
- NASDAQ100の株価上昇を放棄し、配当を重視する戦略
- 商品内容は複雑
- 月次配当
- 過去のパフォーマンスは悪くない
- NASDAQ100とのパフォーマンス差はかなり大きい
- 日本のネット証券会社3社で投資可能(2022年4月時点)
カバードコールとは
「有価証券の買い」と「コールオプションの売り」を同時に行うオプション取引の投資手法。
株などの有価証券の価格が変動しないと予想される時に行い、有価証券の価格上昇の収益が限定される分、オプション・プレミアムを獲得しインカムゲインを増やすことが可能。投資信託の中には、カバード・コールを運用上の戦略として組み入れているタイプも設定されており、その投資対象は株式や不動産投資信託(REIT)、通貨など幅広い。また同タイプは、為替取引のプレミアム(為替取引国間の短期金利差相当)の上乗せを狙う通貨選択型と組み合わされる場合も多い。
オプションまで使いこなせると投資の世界が一気に広がります。カバードコールは一定の価格以上の値上がり益を享受できませんが、オプション料を得ることができるので、インカムゲインを増やすことができます。
カバードコール戦略による損益については新生銀行のサイトがわかり易いので、リンクを貼っておりきます。
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コールオプションとは
ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利のこと。
コールオプションの取引は、買い方(買うことができる権利を買う:ロングコール:Long Call)と売り方(買うことができる権利を売る:ショートコール:Short Call)が同時に存在する。 新規に取引を開始する際には、買い方はプレミアム(オプション価格)を支払い、一方売り方はプレミアムを受取る。その後決済時等に、買い方が権利を行使すると、対象とする商品を権利行使価格で手に入れることができる。一方、売り方はこの権利行使に応じなくてはならない。
コールオプションを簡単に言うと、一定の価格で買う権利のことです。カバードコール戦略では、コールオプションを売りますので、買う権利を売却していることになります。
基本情報(2022年4月15日時点)
上場:米国(日本のネット証券会社などから投資可能)
配当頻度:月次
配当利回り:11.80%
経費率:0.60%
チャート(2022年4月15日時点)
出所:Yahoo finance
株価については大きく下落しているわけではありませんが、徐々に下値を切り下げている印象があります。
運用実績(2022年3月31日時点)
過去の年利リターンとなります。年利での設定来のリターンは8.54%程度と高いです。
株価上昇はあまり見込めない商品ですので、多くが配当から構成されております。高配当好きの方にとって、非常に魅力的な商品です。
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)保有銘柄トップ10(2022年4月14日時点)
上位10銘柄を記載しておりますが、基本的に保有銘柄はNASDAQ100指数と同様となります。
構成銘柄 | 割合(%) |
APPLE INC | 12.99 |
MICROSOFT CORP | 10.10 |
AMAZON.COM INC | 7.44 |
TESLA INC | 4.91 |
ALPHABET INC-CL C | 3.87 |
ALPHABET INC-CL A | 3.67 |
NVIDIA CORP | 3.61 |
META PLATFORMS INC | 3.50 |
COSTCO WHOLESALE CORP | 2.10 |
PEPSICO INC | 1.90 |
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)メリット
高配当が見込める
配当利回りは11.80%(2022年4月15日時点)。カバード・コールの売りで利益を生み出そうとするもので、ボラティリティが高い時期には、より高い利回りを生み出す傾向があります。
過去のパフォーマンスは高い
過去の年利でのトータルリターンは10%弱と非常に高いです。商品内容が分からなくても投資したくなります。
カバードコール戦略を手軽に行える
オプション取引だと敷居が高いと感じる方も多いかと思いますが、QYLDに投資するだけでNASDAQへの投資とコールオプションの売りによる影響を得ることができます(オプション料等)。
日本のネット証券会社3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)から簡単に投資できる
QYLDは日本のネット証券会3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)から簡単に投資できます。
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)デメリット
商品の理解が難しい
コールオプションの売りやカバードコールなどオプション取引を行っていない場合、理解し難い商品となっています。理解できない商品に投資をすると、認識していない要因によって株価が変動して想定外の損失を出す事があります。理解できる商品のみに投資をするのが負け難い投資に繋がっていくかと思います。
カバードコール戦略を取らない方がリターンが高い可能性
NASDAQは株価上昇が続いており、カバードコール戦略によりコールオプションの売りを行わない方がリターンが高い傾向があります。
QYLDとQQQ(NASDAQ100)の比較(2022年4月15日時点)
以下、QYLDとQQQ(NASDAQ100に連動するETF)の過去5年間の値動きを比較したチャートになります。
オレンジ色:QYLD、青色:QQQ(NASDAQ100)
出所:ブルームバーグより
5年間の価格推移をみると、QYLD(▲12.08%)とQQQ(+155.30%)で、大きなパフォーマンスの違いがあります。年間の配当差が10%と想定してもこの差が大きく埋まることはありません。
株価上昇を捨てる代わりに配当を得る戦略もありますが、QQQ(NASDAQ100に連動するETF)の株価の動きには注視する必要はあります。
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個人的な感想
NASDAQ100に連動するETF(QQQ)はこの5年間の株価を見ると、QYLDのパフォーマンスを大幅に上回っており、配当目当てでQYLDに投資するよりもNASDAQ100に連動するETFに投資をした方がメリットがある状態です。
ただ、高配当好きの投資家にとっては魅力的に感じる商品ですので、商品内容をある程度理解した上で投資をするのがいいかと思います。
少し理解し難い商品のため誰にでも合うETFではないですが、過去のトータルリターンはパフォーマンスはいいので、コロナ前の水準を回復していないような高配当ETFに投資するよりも、QYLDに投資する方がいいように感じております。
また、ラッセル2000やS&P500のカバードコールETFもあり、仕組みとしてはQYLDと同じなので、投資にチャレンジするのもありかもしれません。ラッセル2000はボラティリティも高いので配当を求める方には向いているかもしれません。
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