高配当好きの方ですとBDCのARCC(Ares Capital Corporation)が非常に有名です。Aresの子会社がARCCを運用しておりますが、同様にAresの子会社が運用しているACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)という銘柄について記事にしております。
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ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)とは
【事業内容】同社は商業用不動産(CRE)ローン及び他の関連投資のオリジネーションを行い、それらへの投資も行う。同社は主要貸出事業を通じて運営する。同社の対象投資には、上級モーゲージ・ローン、劣後債、優先株式、メザニン・ローンおよび商業用モーゲージ担保証券を含むその他のCRE投資機会が含まれる。これらの投資は一般的に投資目的で保有され、オフィス、多世帯、小売、工業、宿泊施設、シニア・リビング、自己倉庫およびその他の商業用不動産、またはその所有権によって直接的または間接的に保護される。同社のマネージャーAres Commercial Real Estate Management LLCを通じて、CREプロパティの所有者、事業者、スポンサーとの間で直接的にローンチャンスを提供する米国と欧州にまたがる投資専門家を有する。
出所:https://jp.reuters.com/companies/ACRE.N
ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)のポイント
- CREローンをメインとして、一部不動産への投資を行っている
- BDC最大手のARCCの運用会社と同じグループ
- 株価上昇はあまり見込めないが、8%を超える高配当
- 四半期配当
- コロナショックで株価が急落するも、コロナ前の株価を回復
- 日本のネット証券会社3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)から投資不可能(2021年6月時点)
CREとは
Corporate Real Estate の略で、「企業不動産」をいう。
企業は、事業のために事務所、店舗、工場、福利厚生施設など各種の不動産を所有・賃貸借しているが、それらすべての不動産がCREである。
CREが注目されているのは、企業経営において、不動産の活用によって企業の価値を高めることができるという認識が高まったことによる。この場合、不動産の売買や賃貸借だけを考えるのではなく、経営戦略の一環として不動産を活用することが重要であるとされ、そのような視点で企業不動産を運用することを「CRE戦略」という。
そのような業務を実施するためには、企業経営と結びついた不動産マネジメントの能力が必要であるとされている。
基本情報(2021年6月7日)
上場:米国(日本のネット証券会社では、SBI証券、マネックス証券、楽天証券から投資不可能)
配当頻度:四半期(3ヶ月ごと、3月、6月、9月、12月)
配当利回り:8.21%
チャート(2021年6月7日)
上場時からのチャート
リーマンショック後に上場した銘柄ですが、株価は13ドル付近で上下しておりました。コロナウィルスによる影響で株価が下落しましたが、既にほぼ回復しております。
長期的には株価は緩やかですが、上昇傾向となります。
ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)配当状況
コロナの影響はほとんどなく、ここ数年の配当金は非常に安定しております。四半期ごとに一株あたり0.33ドルの配当がある状況です。
コロナの影響で2020年は高配当銘柄も減配する銘柄が多かったですが、ACREはコロナ前と同額の配当を維持しております。
2021年
Ex-Dividend Date | Pay Date | Amount | Frequency |
6/29/2021 | 7/15/2021 | 0.3300 | Quarterly |
3/30/2021 | 4/15/2021 | 0.3300 | Quarterly |
3/30/2021 | 4/15/2021 | 0.0200 | Supplemental |
Total dividends paid in 2021 | 0.6800 |
2020年
Ex-Dividend Date | Pay Date | Amount | Frequency |
12/29/2020 | 1/15/2021 | 0.3300 | Quarterly |
9/29/2020 | 10/15/2020 | 0.3300 | Quarterly |
6/29/2020 | 7/15/2020 | 0.3300 | Quarterly |
3/30/2020 | 4/15/2020 | 0.3300 | Quarterly |
Total dividends paid in 2020 | 1.3200 |
2019年
Ex-Dividend Date | Pay Date | Amount | Frequency |
12/27/2019 | 1/15/2020 | 0.3300 | Quarterly |
9/27/2019 | 10/15/2019 | 0.3300 | Quarterly |
6/27/2019 | 7/16/2019 | 0.3300 | Quarterly |
3/28/2019 | 4/16/2019 | 0.3300 | Quarterly |
Total dividends paid in 2019 | 1.3200 |
2018年
Ex-Dividend Date | Pay Date | Amount | Frequency |
12/27/2018 | 1/15/2019 | 0.3100 | Quarterly |
9/27/2018 | 10/16/2018 | 0.2900 | Quarterly |
6/28/2018 | 7/17/2018 | 0.2800 | Quarterly |
3/28/2018 | 4/17/2018 | 0.2800 | Quarterly |
Total dividends paid in 2018 | 1.1600 |
ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)のポートフォリオ(2021年3月31日時点)
ACREのBalance Sheet
ACREのBalance Sheetで確認する限り、ポートフォリオのほとんどはローンから構成されておりますが、一部現物不動産があります。ローンのほとんどはシニア債から構成されております。
リセッション時には投資先のクレジットリスクが悪化して、損失が生じることもありますが、将来の損失への引き当てとしてCurrent expected credit loss reserve(CECL)が計上されています。
2020年3月にCECLが大きく計上されましたが、その後のクレジットの回復に伴い、CECLの金額は減少傾向となっております。
また、レバレッジの状況がわかるDebt to equity ratioは2.4倍となっております。
ACREのローンのタイプ別割合
ACREのローンのタイプ別割合となりますが、オフィスとマルチファミリー向けの物件のローンの割合が高いです。
ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)のメリット
高い配当利回り
ACREの最大のメリット。高配当が見込めて、配当を重視する人には紹介できる商品の一つ。2021年6月7日時点の配当利回り8.21%と、非常に高い配当利回りは魅力的です。
通常とは異なるアセットクラスへの投資
通常の株式や債券といった、従来の伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を有している。そのため、ポートフォリオに組み込むことによりリスク分散効果があります。
ショックからも回復済み
コロナショックからも回復しており、仮に将来的に同様のショックがあったとしても乗り越えてくれる期待感が強いです。
コロナ禍でも配当維持
不動産系ではモーゲージリートがコロナ後の大幅減配の話をよく聞きましたが、ACREについてはコロナの影響が出始めた2020年3月以降の配当が維持されており、配当を重視した投資をしている方にとっては安心できる点かと思います。
ACRE(Ares Commercial Real Estate Corporation)のデメリット
日本の証券会社では取り扱っていない事
こちらは最大のデメリットで、日本のネット証券会社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)で購入することができません(2021年6月時点)。そのため、米国の証券会社で口座を開いて投資する必要があります。
株価上昇が限定的
チャートを見ると、景気後退時に大きく下落しておりますが、それを除くと、一定の株価に収まる傾向があります。
配当が四半期ごと
多くの投資家にとっては大したデメリットではないかもしれませんが、個人的には毎月分配される商品が好きなので、四半期ごとだと、頻度が少なく感じてしまいます。
個人的な感想
配当利回りが高く伝統的な資産とは異なる特性を持つため、投資したい銘柄の一つです。個人的にはBDCのARCCが好きな銘柄の一つですが、ACREとARCCは同じ運用会社が親会社となっており、その繋がりでACREへの投資に興味を持ちました。
個別銘柄への投資はあまりしないのですが、長期的に株価も緩やかに上昇傾向で、かつ、高い配当利回りのため、投資したくなります。
日本のネット証券会社3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)では取り扱いがなく、米国の証券会社から投資する事になるのが残念です。
ただ、米国の証券会社でも、FirstradeやInteractive Brokersなら日本人でも簡単に口座を開設できますので、興味がある方はリンクの紹介記事をご覧頂ければと思います。
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