ローン担保証券 (CLO)に上場投資信託(ETF)経由で投資する最初の機会が訪れた。
出所:Bloomberg
この言葉に全てを表現しているかと思いますが、これまで個人では投資することが不可能に近かったCLO。ですが、2020年9月9日からETF経由で投資することが初めてできるようになりました。
個人的に、気になっているCLOに連動するETFを紹介したいと思います。CLOは仕事でも話題になる金融商品ですが、商品の中身が分かりにくいと感じる人も多いようです。
念のために記載しておくと、投資は自己責任ですので、理解して納得した金融商品に対してだけ投資することが重要と思います。
AAAとは
First Priority CLO Bond ETF (AAA)
ファーストプライオリティ CLO Bond ETF(AAA)は、資本を保全しつつ、利息収入を確保することを目的とし、格付けがAAAの米ドル建てCLOに投資する米国の上場投資信託(ETF)です。
CLOとは
Collateralized Loan Obligationの略称で和訳はローン担保証券。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいう。
金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産を、ローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。
実際には、金融機関がローンを特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が債券を組成し、投資家がこれを購入する。そして、ローンからの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的である。
CLOは、シニア債・メザニン債・劣後債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成される。ローンからの元利金は支払優先順位の高い順に支払われる。よって発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異なった格付けが付与されている。CLOは、リスク・リターンの選好が異なる様々な層の投資家に対して、投資機会を提供することができ、個別企業の発行する債券にはない投資機会を提供することができるとされている。
基本情報(2020年10月22日)
上場:米国(日本のネット証券会社のSBI証券、マネックス証券、楽天証券では投資不可能)
配当頻度:月次
配当利回り:未確定(30 Day SEC Yield は9月15日時点で1.23%)
経費率:0.25%
上場したばかりのETFのため、あまり多くの情報が収集されていません。
AAAの3つのメリット
元本を守りつつ配当利回りを得られる
AAAの最大のメリット。元本を守りつつ、同じ期間の国債よりも的高い配当が見込める。商品の構造上、シニア部分に投資していることが多く、劣後部分が先に損失を負担するため元本を守りやすいです。劣後部分の割合が低い場合や、デフォルトが増えて劣後部分で吸収できなくなりそうな場合には注意が必要となります。
CLO投資を分散して行える
CLOの個別銘柄は基本的には個人投資家がアクセスすることはできないため、ETFを通して複数のCLOに投資することができるのは魅力的です。
これは優先株式やジャンク債に個人投資家がアクセスしにくいのと同じ話かと思います。
通常とは異なる投資
通常の株式や債券といった、従来の伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を有している。そのため、ポートフォリオに組み込むことに投資を分散することができます。
3つのデメリット
高配当ではない
CLOと聞くと、リーマンショックでも話題になったCDOと同様にリスクが高く、リターンも高いと考える人も多いかと思います。
しかし、実際は、資本を保全しつつ、利息収入を確保することを目的としており、配当利回りはそこまで高くないことが多いです。30 Day SEC Yield は9月15日時点では1.23%となっており、今後の利回りについて気になります。
日本の証券会社では取り扱いがない可能性が高い
<こちらは最大のデメリットで、Alternative AccessのETFは日本のネット証券会社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)で投資できないです(2020年10月時点)。日本のネット証券会社では投資できないので、米国の証券会社で口座を開いて投資する必要があります。
流動性リスクが高いこと
格付けがAAAのCLOであったとしても、リーマンショックやコロナショックなど市場が動揺する際には大きく下落します。ショック時には換金ニーズが高まり多くの商品が大きく下落する傾向がありますが、CLOは国債と比べると売買が非常に少ないため、投げ売りに近い状態になることもあります。
個人的な感想
リーマンショック時にはCDOが話題になりましたが、基本的な商品の構造は同じです。CLOは伝統的な商品と比べると理解しにくいですし、CLOに含まれる資産(裏付資産)の情報にアクセスすることも難しかったりしますので、誰にでもお勧めの商品とは言えません。
ただ、CLOなどの証券化商品は非常に危険と思っている人もおりますが、結局は、AAAがCLOのどの部分(シニア、劣後)に投資しているのか、シニアに投資する場合には劣後が全体でどれくらいの割合なのか、CLOが投資する債権の格付けやデフォルト状況によって、リスクは大きく異なるかと思います。
冒頭でも記載しましたが、どの金融商品への投資についても同様ですが、理解して納得した金融商品に対してだけ投資することが、不測の損害を回避するために重要と思います。
私はとりあえず少額投資していきますが、ポートフォリオで重要な割合にすることは考えていません。