個人的に、資産を減らさず、配当を重視しつつも、全体として負けにくいポートフォリオを目指しておりました。その中でバランス型のETFについても調べており、今回はAORという成長も見込める株式と債券に投資するETFについて記事にしております。
AORとは
iShares Core Growth Allocation ETF(AOR)
S&P Target Risk Growth インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す米国籍のETFです。イメージとしてはバランス型ETFで、AOR1銘柄に投資することによって、株式と債券に幅広く分散投資を行えます。
ETFの名前にGrowthと記載がある通り、株式の割合が高くなっております。
項目 | 割合(%) |
株式 | 63.12 |
債券 | 36.45 |
キャッシュ/デリバティブ | 0.43 |
AORのポイント
- AORの1銘柄に投資すれば株式と債券に分散投資できる
- 株式6割強、債券4割弱に投資
- 大負けしにくい
- 手数料が比較的低い
- 月次配当
- 2008年に上場したETFで過去のパフォーマンスも悪くない
- 日本のネット証券会社3社では投資できない(2020年9月25日時点)
基本情報(2020年9月25日時点)
上場:米国(日本のネット証券会社では、SBI証券、マネックス証券、楽天証券は投資不可能)
配当頻度:四半期(3カ月ごと)
最低投資金額:47.91ドル(1口)
配当利回り:2.61%
経費率:0.25%
取引高:133,778口
チャート(2020年9月25日時点)
2008年に上場したETFですが、長期的に上昇しております。コロナによる影響で2020年3月に大幅に下落しましたが、既にコロナ前を回復しております。
上場時に10,000ドルした場合の推移
上場時の2008年に10,000ドル投資した場合、2020年9月25日時点では25,000ドル弱の金額になっております。
大勝ちする商品ではありませんが、長い目で見た時のNAVのパフォーマンスは年利7.69%となります。十分と感じる人も多いかと思います。
AORの投資先構成比率(2020年9月24日)
主にETFに投資しておりますが、メインはIVVとなります。
個人的には、個別ETFで投資を検討した銘柄が複数含まれており、悪くないと感じております。
Ticker | Name | Asset Class | Weight (%) |
IVV | ISHARES CORE S&P ETF | Equity | 31.49 |
IUSB | ISHARES CORE TOTAL USD BOND MARKET | Fixed Income | 30.99 |
IDEV | ISHARES CORE MSCI INT DEVEL ETF | Equity | 21.76 |
IEMG | ISHARES CORE MSCI EMERGING MARKETS | Equity | 7.19 |
IAGG | iShares Core Intl Aggregate Bnd ET | Fixed Income | 5.46 |
IJH | ISHARES CORE S&P MID-CAP ETF | Equity | 1.9 |
IJR | ISHARES CORE S&P SMALL-CAP ETF | Equity | 0.78 |
XTSLA | BLK CSH FND TREASURY SL AGENCY | Money Market | 0.29 |
USD | USD CASH | Cash | 0.15 |
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AORの市場別保有配分上位10市場(2020年9月24日)
市場規模を考えると当然ですが米国の割合が高く、次いで日本の割合が高いです。海外ETFに投資する方ですと日本への投資に否定的と思いますが、6%なら許容できる水準かと思います。
メリット
株式と債券への投資を1銘柄で簡単に行える
AORには、iSharesの株式及び債券の代表的なETFが含まれており、1銘柄で成長も見込めるバランス型の投資を行えるのは魅力的です。しかも1口50ドル程度で投資しやすい。
AORは、S&P500に連動するIVVがポートフォリオの30%以上を占めており、株式だけで60%に達しています。
自分でバランス型のポートフォリオを構築することもできますが、継続的に複数の銘柄をバランスを考慮して投資し続けるのも手間ですし、かつ、投資額もAORに投資するのに比べて多く必要になります。IVVは個別で買うと300ドル以上します。
バランス型のため負けにくい傾向がある
景気が上昇を続けていると株式だけでいいと思いますが、コロナウィルスなど想定外の事象により経済活動が一変すると、特定の商品に偏っていると大負けすることがあるかと思います。株式だけでなく、債券もバランスよく含めておくと、株式の下落時に債券価格上昇により相殺でき、ショックを和らげることができます。
そこそこ高配当が見込める
2020年9月25日時点で分配金利回りは2.61%となっております。ハイイールド債以外の債券については分配金利回りが2%~3%というイメージです。
コストが低く、長期間保有できる
Management Feeが0.25%と低く、長期的に保有しやすいです。本来は0.25%+0.6%=0.31%ですが、0.06%分のコストはかからず控除されております。
デメリット
日本のネット証券会社で投資できない(2020年9月26日時点)
iSharesのETFは日本のネット証券会社3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)でも投資できる銘柄が多いのですが、AORについてはまだ取り扱いがないため、投資できません。そのため、現時点では海外の証券口座で投資することなります。
株式市場が上昇局面での誘惑
株式がさらに上昇すると、債券投資分だけパフォーマンスが落ちることがあります。
当初はリーマンショックやコロナウィルスでの経験から負けにくい投資を目指していても、株式市場が過熱すると債券が入っていない方がパフォーマンスが高いので、債券が含まれているAORを売却し、株式だけの投資をしたくなります。
市場が急落する局面では分散効果は大きくない
コロナウィルスによる経済危機が起きると、株式だけでなく債券も換金ニーズから売られ、大きく下落することになりますので注意が必要です。
ただ、分散効果が効きにくい状況は長く続かない傾向があります。
同じポートフォリオを自分で構築した方がコストが低い
AORが保有しているETFに個別に投資すると、信託報酬等のコストを保有割合で加重平均すると0.06%程度となります。すでにメリットで信託報酬から0.06%控除されていることを書きましたが、AORが保有しているETFは全てiSharesのものなので、2重でコストがかかっていないことになります。
そのため、0.25%は純粋にAORだけのコストとなります。
AORは7銘柄で構成されており、自分で同じ銘柄を同程度の割合で投資することにより再現できますので、0.25%のコストが少し気になります。
個人的な感想
配当を重視しつつも、全体として負けにくいポートフォリオを目指しており、バランス型のETFについてもリサーチしておりました。
個人的には、自分に合ったアセットアロケーションを設定するのが難しく感じております。一部の投資信託では8つの資産などに同じ割合で分散投資しているケースもあり、シンプルでわかりやすい投資と思ったりしますが、外国株式と日本株式がどうして同じ割合なのか、株式と債券と不動産とコモディティなどがどうして同じ割合なのかといった疑問が出てきてしまいます。
AORは米国内外の株式と債券だけを対象としており、ETFの成長も狙う商品のため株式の比率が債券よりも高く、感覚的にバランスもちょうどよく感じます。
自分で配当を重視したポートフォリオを構築していくことに変わりはありませんが、バランス型のETFについても1銘柄だけ継続的に投資していきたいと考えており、まだAORに投資をしておりませんが、投資候補と考えております。