VPCとは
Virtus Private Credit Strategy ETF(VPC)を簡単に説明すると、米国に上場しているプライベート・ローンやダイレクト・レンディングなどのプライベートクレジットに投資するETFです。
投資対象:主にBDC、CLOやSenior loan
配当頻度:四半期(3月、6月、9月、12月)
BDCとは
Business Development Companies(ビジネス ディベロップメント カンパニーズ)の略で、日本語では事業開発会社と訳されます。新産業や有望な中堅企業等(中小企業から上場企業まで)の事業開発を金銭面及び経営面からサポートする会社で、その多くが米国の証券取引所に上場しています。その配当利回りが相対的に高いことや今後の米国の経済成長期待から、注目されている資産の一つです。
出所:https://www.smam-jp.com/market/report/keyword/usa/key170131us.html
CLOとは
Collateralized Loan Obligationの略称で和訳はローン担保証券。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいう。
金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産を、ローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。
実際には、金融機関がローンを特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が債券を組成し、投資家がこれを購入する。そして、ローンからの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的である。
CLOは、シニア債・メザニン債・劣後債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成される。ローンからの元利金は支払優先順位の高い順に支払われる。よって発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異なった格付けが付与されている。CLOは、リスク・リターンの選好が異なる様々な層の投資家に対して、投資機会を提供することができ、個別企業の発行する債券にはない投資機会を提供することができるとされている。
出所:https://www.nomura.co.jp/terms/english/c/clo.html
VPCの3つのメリット
高い配当利回り
VPCの最大のメリット。高配当が見込めて、配当を重視する人には紹介できる商品の一つ。2019年2月7日に上場したばかりの商品となっており、年間での配当利回りがまだ出ておりません。
上場後2度(2019年6月28日、2019年9月30日)配当がありましたが、約25ドルの株価に対して2%を超える高い配当となっております。
日付 | 一株あたり配当金 |
2019年9月30日 | 0.519ドル |
2019年6月28日 | 0.857ドル |
直近の基本情報は以下の通り。
通常とは異なるアセットクラスへの投資
通常の株式や債券といった、従来の伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を有している。そのため、ポートフォリオに組み込むことによりリスク分散効果があります。
CLOなど個人ではアクセスしにくい商品を組み込んでいる
リーマン・ショックの時にはCDOが話題になりましたが、ここ数年はCLOに対するネガティブな記事が定期的に出てきます。CDOもCLOも同じような商品のため、当局の関心も高いようで、直近では以下のようなニュースがありました。
日本銀行と金融庁は、日本の金融機関によるローン担保証券(CLO)などの海外クレジット商品に対する投資の全体像を把握するため、共同で調査に乗り出す。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。
2019年9月9日 Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-09/PXE2996TTDS201
ネットでCLOを検索すると、ネガティブな記事は多く見つかりますが、
そんなリスクの高い商品なら投資をしてみたい。
そう思う人は意外といるのかなと思ったりします。私はCLOに投資してみたくなり、個人で投資可能な商品を探してみました。残念なことにCLOだけを対象とするETFはまだ見つかっておりませんが、CLOを含むETFとしてVPCが見つかりました。
実際には、CLOが投資家から資金を集める際に、資金調達を優先部分と劣後部分に分けており、優先部分はリスクとリターンが相対的に低く、劣後部分はリスクとリターンが高くなっております。
CLOだと必ずリスクが高いとも言い切れないかと思います。
3つのデメリット
日本の証券会社では取り扱っていない事
こちらは最大のデメリットで、日本の証券会社で購入することが現状できません(2019年9月時点)。そのため、米国の証券会社で口座を開いて投資する必要があります。
一般的にはリスクが高く、内容を把握しにくい
VPCはクレジットリスクを取る代わりに高い分配金を得られる商品になっており、VPCの投資先は、リスクの高い企業や、リスクが高いトランシェに投資していると考えられます(分析中)。クレジットリスクを取りに行く商品ですので、リスクが高いことは問題ないですが、そのリスクがわかりにくい。
配当が四半期ごと
多くの投資家にとっては大したデメリットではないかもしれませんが、個人的には毎月分配される商品が好きなので、四半期ごとだと、頻度が少なく感じてしまいます。
個人的な感想
配当利回りが高く、伝統的な資産とは異なる特性を持つため、リサーチとして投資しています。VPCのメインの投資先はBDCのため、BIZDの投資先と重複していたりします。そのため、VPCはBIZDやARCCなどのBDC銘柄とセットで投資額を決めていこうと思います。
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