金利上昇見通しで多くのハイテク株の割高水準は正当化できなくなり、新型コロナウイルス禍後の取引として割安なバリュー株への投資に関心が集まるようになった。
この流れの究極にあるのが、主流のバリュー株ファンドよりもさらに割安とみられる銘柄に注目する「ディープバリュー」投資だ。
出所:Bloomberg
バリュー株よりも更に割安なディーブバリュー投資を行えるDEEPについて記事にしております。
The Roundhill Acquirers Deep Value ETF(DEEP)とは
ラウンドヒル・アクワイアラーズ・ディープ・バリューETF(The Roundhill Acquirers Deep Value ETF)は、Acquirers Deep Value Indexのパフォーマンス(手数料・費用控除前)に近い投資成果を目指す米国籍のETF(上場投資信託)。
Acquirers Deep Value Indexとは
Acquirers Deep Value Indexは、アクティビストやバイアウト会社がターゲットを特定するために使用する指標であるAcquirersMultipleを使用して、非常に過小評価されている小型株とマイクロキャップ株を見つけようとします。指数は四半期ごとに更新されます。
バリュー株投資とは
株価の割安な銘柄に投資する手法。
一般的には、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が市場平均より低いことなどを判断基準とします。「バリュー投資」「割安株投資」ともいいます。
出所:大和証券ホームページ
DEEPのポイント
- 非常に過小評価されている小型株とマイクロ規模の株式を投資対象とする
- バリュー株よりもさらに割安な銘柄をターゲットにする
- 2014年に上場、2020年6月22日にAcquirers Deep Value Indexに指数を変更
- 指数の調整は四半期
- 四半期配当
- 日本のネット証券会社3社では投資できない(2021年3月19日時点)
基本情報(2021年3月19日)
上場:米国(日本のネット証券会社のSBI証券、マネックス証券、楽天証券では投資不可能)
最低投資額:35ドル程度
構成銘柄数:100社
配当頻度:四半期(3ヶ月ごと、3月、6月、9月、12月)
配当利回り:3.55%
経費率:0.8%
チャート(2021年3月19日)
2014年に上場したETFですが、2020年6月に指数を変更しております。コロナ前の水準を回復しております。
DEEP構成銘柄トップ10(2021年3月21日)
# | Ticker | Holding Name | % of Net Assets |
1 | PDEX | PRO-DEX INC COLO | 1.06% |
2 | IESC | IES HLDGS INC | 1.04% |
3 | CORE | CORE MARK HOLDING CO INC | 1.03% |
4 | SMTS | SIERRA METALS INC | 1.03% |
5 | TCBK | TRICO BANCSHARES | 1.03% |
6 | DCOM | DIME CMNTY BANCSHARES INC | 1.02% |
7 | FBMS | FIRST BANCSHARES INC MS | 1.02% |
8 | FISI | FINANCIAL INSTNS INC | 1.02% |
9 | NHC | NATIONAL HEALTHCARE CORP | 1.02% |
10 | NWPX | NORTHWEST PIPE CO | 1.02% |
上位10銘柄を見ると知っている企業は1社もありませんでした。
#1 PDEXは医療・歯科機器メーカーで96百万ドル(簡便的に1ドル100円とすると、96億円)、
#2 IESCは電気工事請負会社で1,000百万ドル(簡便的に1ドル100円とすると、1,000億円)
DEEPのメリット
バリュー株よりも更に割安なディープバリュー株にフォーカスした投資ができる
バリュー株はそもそも不人気でもともと割安な銘柄が多いのですが、DEEPはさらに割安な銘柄にフォーカスしております。もともと割安に放置されていたので、仮に株価が更に下落したとしても影響が限定的で、株価の評価見直しが始まると、大きなリターンを得ることができる可能性があります。
高い配当利回り
米国の高配当株式ETFといえばVYMやSPYDがありますが、見劣りしなく位高い配当利回りとなっております。
グロース株からバリュー株へのシフト
ここ数年グロース株(成長株)に注目が集まっておりましたが、米国の金利上昇見通しで多くのハイテク株の割高水準は正当化できなくなり、グロース株からバリュー株へのシフトが進んでいるようです。この投資の流れの変化を取り込みやすいです。
規模が小さい会社が投資対象銘柄
指数は小型やマイクロ規模が対象となります。小型株は小型株効果により、大型株よりもパフォーマンスが高く無いやすい傾向があるため、高いパフォーマンスを狙いやすいです。
小型株効果とは
株式の時価総額が小さい小型株は、大きい大型株よりも収益率が相対的に高くなりやすい傾向にあること。理論的に説明できない相場のアノマリー(経験則)の一種。小型株は市場での注目度が低いため割安に放置されやすく、また今後の利益成長が期待できる株として収益が得られやすいとされている。
出所:野村証券HP
DEEPのデメリット
グロース株からバリュー株へのシフトが限定的となる可能性
ここ数年はグロース株のパフォーマンスが高く、特にテクノロジー株は人気となっておりました。今後は米国金利上昇に伴い、グロース株からバリュー株へのシフトが起こる可能性もありますが、金利が下落トレンドに転じてテクノロジー株に戻っていく可能性もあります。
日本の証券会社では取り扱っていない事
こちらは最大のデメリットで、日本のネット証券会社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)で購入することができません(2021年3月時点)。そのため、米国の証券会社で口座を開いて投資する必要があります。
経費率は少し高め
経費率は0.80%ですので、一般的なインデックスに連動するETF(S&P500やTOPIX)と比べると少し高く感じます。ただ、テーマ型のETFの経費率としては許容できる方が多いかと思います。
個人的な感想
個人的には既存の成長株への投資という点では完全に出遅れており、ここから追随するつもりは無く、新しい投資先を探しておりました。
配当利回りが高く、バリュー株よりも更に割安な小型株やマイクロ規模の企業への投資のため、大きく化けた時の影響も大きいので、高いリターンを狙った投資をしたなります。
リサーチ用に少し投資してみますが、株価と配当の状況によってはある程度の資金を入れてもいいかと思っています。
日本のネット証券会社3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)では取り扱いがなく、米国の証券会社から投資する事になるのが残念です。
ただ、米国の証券会社でも、FirstradeやInteractive Brokersなら日本人でも簡単に口座を開設できますので、興味がある方はリンクの紹介記事をご覧頂ければと思います。
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Firstrade(ファーストレード証券)〜日本から口座開設できる米国ネット証券会社の紹介
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